Release 2017.4.13 / Update 2018.11.25

Nintendo Switchの充電を見る その1

Nintendo Switchの充電環境が気になっていたんですけど、USBからの電力を測るのがちょっと面倒そうだったので、「動くからいいや」と放置していました。

しかし、USB用の「電力テスター」なるものがある事を知り、悩まず購入。

ちょっと試してみたら、簡単に確認できるのが面白かったので、更に「ACコンセントから電力をモニタできる」タイプも手に入れて、充電の状況を確認・比較してみました。

使用器機

USB電流電圧テスター

USBメモリのような外見で、接続は中継するだけです。USB端子に挿せば、自動的に起動して電力のモニタができます。電圧、電流、のみならずワット数やら、データ線の電圧も表示します。しかも、値段がお手頃です。

注意すべき点は、

  • Wh(ワットアワー)が誤差レベルじゃない程ズレる
  • 中国製で類似品が多く、「初期良品に当たる」ギャンブル的要素がある

Amazonで検索すると、色々と類似品があり値段も違います。液晶表示が似てるものは、多分、みんな同じで、ほぼ中国製です。

このテスターはこちらの記事を見て知ったんですが、手元に来たのはメーカー名が違います。でも、表示項目は一緒、中国語表示の切替もあります。ただ、自分が手に入れたモノは、説明書もない「現物のみ」で、「プラグが曲がっている」ような雑なつくりの製品でした。

それでも、とりあえず動作的には問題ないし、使い方は上記の記事で細かく説明されているので、「表示」とか、「リセットの仕方」に困ることもありません。詳細を知りたい方はリンクを参考にしてください。

mgo-tec電子工作
USB Safety Tester ( 電圧 電流 チェッカー ) をレビューしてみました

AC ワットモニター

家庭用コンセントに挿し経由させるだけで、使っている製品の電気使用量を簡単に確認できます(対応しない電気製品もあるので注意)。ワット数以外に電気料金やCO2排出量も分かるようです。もう少し安いタイプもあるんですが、液晶の大きさで、これにしました。競合製品もほぼ出来ることは一緒だと思います。

ただし、入手して気付いたんですが、この商品、プラグが格納出来ないんです。普段の保管に困ります。あと、サイドの接続先コンセント配置が、結構壁面ギリギリなので、壁に挿して使うときは、測りたいコネクタが太いと挿さらない可能性があります。

AC-USBアダプタ

Switchの充電状況を測るのに、古いACアダプタだけだと判断しづらいかなと思い、新しく購入しました。

USB Type-A 2ポート、各端子2.4A出せて、トータル24W電力供給できます。値段的にはもっと安いものもありますが、今までの経験上RAVPowerというメーカーが比較的信頼できること、モバイルバッテリーが同時購入で割引になるというキャンペーンがあったので、これにしました。

今回、USBについて調べたんですが、かなり混沌としていてまとめきれないので、Nintendo Switchに絡む部分にのみ触れていきます。

USB Type-C

Nintendo Switchに採用されたUSB Type-Cケーブルは、標準で1.5A~3.0Aの給電に対応し、「機器同士で交渉して、通信や電源の方向と量を変更できる」柔軟な仕様とされています。しかし、それはType-C同士での話なので、今回自分が手に入れたようなUSB2.0 Type-A変換であれば、下位互換で、結局、規格(USB BatteryCharging)上、1.5Aまでしか出来ないことになります(Lightingや急速充電は根本的にUSBに乗っかった独自規格。なので、専用のアダプタやケーブルが奨励されている)。

そして、この新しいUSB規格にもキッチリ準じてない製品も多く、「粗悪品に気をつけろ」という話になっているようです。

任天堂のサポートでSwitchのUSB-C&Standard Type-A充電については、前提として「動作の保証はしないけど」としながら、「56kΩの抵抗が組み込まれているものを」と説明してくれています。

整理すると、
Type-Cは電流許容量の範囲が0.5A~3Aと大きいが、一番普及しているお馴染みのType-Aのコネクタは、基本そこまで対応していない。そのため、器機がType-C同士の接続だと勘違いすると、許容以上の電流を流し壊してしまうので、どのタイプのケーブルか認識させる必要がある。機器がケーブル判断のために見るのが56kΩ抵抗。

と、いうことです。Type-Cでよく言われる事故は、ここがちゃんとしていないケーブルのため起きるみたいです。いずれにせよ自分の環境の場合、5V/1.5Aが許容量ということになります。

以下の記事が参考になります。

andmem
「USB Type-C」問題と安全に使える製品のまとめ―規格の解説やチェック方法など

4gamer.net
ゲーマーのためのUSB Type-Cケーブル購入ガイド。
安心して使えるのはどれか,全29製品で安全性を検証。

Nintendo Switchの充電

ケーブルに関しては、検証せずして問題ないことが、上記の記事で分かります。でも、念のため、「アダプタ違い」検証とケーブルも確認してみます。

以下の計測値は、あくまで、紹介した機器を使って自分が測った数値であり、精度の高いデータでもなければ、製品の性能を決定づけるものではありませんので、悪しからず。

Type-A変換ケーブル・アダプタでの比較

本体のバッテリー残量50%付近で接続した時の値です。

RAVPower AC-USBアダプタ
USB Type-A 2ポート、各2.4A、計30W

ケーブル種類 電圧
Volt
電流
Ampere
ELECOM MPA-AC10NBK 5.17~5.18V 1.40~1.44A
Tronsmart (1.8mx2) ほぼ同上 ほぼ同上

ほぼ、調べたとおり、規格内の値です。ケーブル間の差もありません。

胸を撫で下ろしたところで、念のため昔から使っているアダプタでも試してみました。

PLANEX AC-USBアダプタ
USB Type-A 2ポート、計2.0A、10W?

ケーブル種類 電圧
Volt
電流
Ampere
ELECOM MPA-AC10NBK 5.12~5.14V 1.85~1.94A
Tronsmart (1.8mx2) ほぼ同上 ほぼ同上

ケーブルは共に同じで問題なし…あれ?電流量が大きい。規格の1.5Aを超えてます…。

この古いPLANEXアダプタでもSwitchの充電は出来たし、実はプレイしながらの充電も気持ち早かったんですが、これを見ると納得、と同時に使うのが不安になります。アダプタ自体は2.0Aまで許容としているし、以前、2.0A越えて(2台同時に)挿してしまった時も、自動的に遮断されたので、ある程度は信頼したいところですが…。

念のため他のデバイスでどうなるか確認してみました。同時に買った12000mAのモバイルバッテリーです。

電流(Current)が定格の2.0A越えてる…。ダメですねこれ。でも、1Aがデカいと言われていた時代のものなので、今のUSB情勢に対応し得るわけがないです。しょうがない。こいつは今回の検証以降、引退してもらうことにします。

充電時間と消費電力

今度はACコンセントからの電力を“ワットチェッカー”で、充電時間込みの確認をしてみました。

本体バッテリー残量20%から100%の満充電まで
構成 充電時W数 充電の所要時間
純正ACアダプタ
(USB Type-C)
21~13~2W 144分
RAVPower ACアダプタ
(ELECOM Type-C & Type-A)
9~4W 185分
PLANEX ACアダプタ
(ELECOM Type-C & Type-A)
14~10~2W 160分

今回初めて知りましたが、充電って一律に電流を送るわけではなく、状況に合わせて変動するようです。バッテリー残量が20%と80%では充電スピードが変わるので、満充電に近いほど時間がかかるようになります。

純正ACアダプタ

純正のACアダプタは本体のバッテリ残量、使用状況に合わせて大きく電力が変動します。残量20%程の時、スリープ&充電では13W付近で動いて、プレイ&充電では21Wぐらいまで上がります。ただし、プレイしてても、ロード中、メニュー画面では少し下がったりします。CPUの処理状況が電力に影響しているのが如実に分かります。

電力量は、本体残量が増えていくにつれ下がっていき、残量90%の充電では一桁台、最終的には2Wまで下がりました(スリープ&充電)。

ACアダプタを見ると、

5.0V-1.5Aから15.0V-2.6A

とあり、5.0V*1.5A=7.5Wと数値が合わないので、15.0V*2.6A=39Wの方で給電しているかと思われます。

ACアダプタ表記の読み方はこちら

USB PD(PowerDelivery)ってやつですかね。って、調べてみるとこんな記事がありました。

RAVPower ACアダプタ

対して、RAVPowerのUSB2.0 Type-A接続アダプタでは、ほぼ一律で9Wでした。プレイしながらの充電でも変動しません。満充電付近では4Wまで下がりました。

Amazonの説明を見ると、

  • フルスピード充電:各ポート最大2.4Aまで出力します。スマートフォン2台はもちろん、タブレット2台でさえ同時にフルースピードで充電可能です。
  • iSmart出力自動判別機能を搭載:接続されたデバイスを自動的に検知し、最適な電流をお送りします。デバイスに応じてわざわざ充電ポートを選ぶ必要がありません。
  • 安心安全:充電保護システムより、過充電、過放電、過熱またはショートを避け、充電器自体とデバイスを保護します。

USBテスターでは1.5A以下の電流が流れているのが見えるので、保護システムによって制限しているため、このような振る舞いをしていると思われます。

このアダプタ入手直後、プレイしながらの充電を試したんですが、ほぼできなかったのは、こういうことだったのか、と分かりました。つまり、残量が少ない状態だと、本体の消費に電力を取られて、充電に至らない状況だったわけです(ただ、1.5A以内はUSB規格としては正規の挙動なわけですが)。もし、このアダプタで充電するなら、スリープ中に、若しくは満充電に近いときに挿さないと、効率が得られないと考えられます。

古いACアダプタ

一応Switchとの接続では定格内だったので、恐る恐る試したPLANEXでは、純正に近い挙動をしました。ただし、定格の2.0Aを越えないラインで動き、プレイ&充電でも上限が14Wでした(スリープ&充電は10W)。そして、こちらも本体満充電に近づくにつれ、W数が落ちていきます。

とりあえず、「充電」出来ましたけど、もう使いません。

結論

  • USBケーブルの選択だけでなく、変換アダプタにも注意する(特に古いアダプタに注意)
  • Type-A変換の給電環境だと、遊びながらの充電は難しい
  • 結局、ガッツリ遊びながら充電もこなしたいなら、純正のAC電源を買うのが一番確実で安全

当たり前の話でしたね。

USB Type-Cでの充電も検証してみました。(2017/12/10 追記)

Nintendo Switchの充電を見る その2 USB Type-C

 

 とりあえずNintendo Switchの充電状況を見たくて、簡易測定機を手に入れましたが、簡単に電力が見えるので、結構面白いです。

でも、それよりも、今回調べて、USBがかなり「無秩序」な状況であることを知ってしまい、結構怖い気がしました。自分のように古いタイプの機器を「挿せるから」と使っている人も多いと思います。Type-Cが普及してくるにつれ、更にUSBが「電源ケーブル化」してくると考えられますが、そんなときに、今回みたいな古くて適合しないような旧製品を使っていると、大きな事故につながる危険もあるわけで。

こういったテスターはこの御時世、おすすめアイテムというより、防災アイテムに近い気がします。

参考リンク

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