Release 2017.12.24

リモートレリーズをArduino制御

以前、赤外線でカメラシャッターを切るのを試しましたが、これだと受信するためにその都度、カメラ側の設定を変更しないといけませんでした。まあ、使えるは使えるんですけど、ちょっと一手間なのが何ともです。

で、カメラには有線のリモートレリーズ端子もあり、「そっちはどうなんだろう?」と思ったので入手して試してみました。

リモートレリーズ

銀塩カメラの時代のレリーズは自転車のブレーキと同じで、ケーブルの中にワイヤーが張っていて、押せば物理的に先が飛び出てシャッターを押す仕組みでした。単純です。

wikipedia : リモートレリーズより

ただ、接続すれば簡単に「シャッターボタンを延長」出来るわけで、非常に機能的で確実です。

一方、デジタル一眼では、それを電気信号で行っているようです。本体にそのコネクタがあります。

“GPS”の下にマウスのようなアイコンが。これが有線レリーズコネクタ。

ここへ接続するニコン純正品があります。

ただ、バリバリに使い倒したいわけでもなく、様子見したいだけなので、少々価格に躊躇します。幸い、安価な類似品が多数あるので、とりあえずそちらを入手してみました。

Amazon – Nikon シャッタレリーズ

コピー品の検証

純正の1/4程度の値段で、どれほど差があるか分かりませんが、期待通りの挙動はしました。浅く押せばAFが作動し、深く押せばシャッターを切ります。いわゆる、「半押し」が出来ます。

赤外線レリーズの時と違い、カメラのシャッターボタンと同じ挙動で、まさしく「シャッターボタンの延長」という使い勝手が可能です。“bulb”に設定すれば、押している間シャッターが開いている「バルブ撮影」も出来ます。

ちなみにボタン周りのスライドでボタンがロックされるので、シャッター押しっぱなしにも出来ます。

リモートレリーズの中身

で、中身はどうなっているのか気になってみたので開けてみました(開封して10分もしないで分解という…)。

開けるには裏面のネジ2本を外すだけ

シャッターの半押しってどういう仕組みなのかな?と思っていましたが、開けてみて納得。基板とか電子パーツ的なものは一切なく、単純に金属板が並んでいるだけです。

上がAF作動用、真ん中がGND、下がシャッター用かと。

バネ的な役目もしている金属板が、ボタンを押す事でくっつき、短絡(ショート)すると信号になるっぽいです。これによって、「半押し」「シャッター」の2段階が出来るようになってました。

ちなみに、この記事はNikon用で、こういったレリーズ周りの勝手はカメラメーカーによって違います。

ということは、単純にショートさせれば、同等の動作をしてくれるんじゃないかと。

そこで、絶縁しつつワニクリップでそれぞれピンに取り出し、その先でショートさせたりしてみると、予想通り、シャッターを切ることが出来ました。

抵抗さえなく、カメラ内部でプルアップ/プルダウンされているのか知る由もないので、純正品も同じような構造なのか?っていうところが気になりますが…。

Arduinoで操作

この仕組みが分かれば、この金属板の役割をArduinoに置き換えて操作できるような改造が出来そうです。そこで、まず、中を通っている電気がどんなもんか知ろうと、テスターを使って測ってみました。が、瞬間過ぎて、自分の安いテスターでは具体的な数値が判別できません…。

どうしようかなと思ってたら、フォトカプラを思い出しました。

フォトカプラ

フォトカプラはリレーと同じです。制御用の電気を送ると、ゲートになっている別回路のON/OFFを制御できる代物です。電圧が違う別回路を扱いたい時なんかに使います。

ただし、フォトカプラがリレーと違うのは制御にLEDを使うところです。パーツ内部のLEDをつけると、これまた中に入っている光を感知する素子が反応して、別回路を通電させるようになっています。

電磁石で物理的に動くリレーよりも遥かに高速で反応するために、主に電源ではなく微細な信号回路で用いられるようです。ちなみに、以前やったMIDIの規格では、受信側の回路でこのフォトカプラを使う仕様になってました。フォトカプラを使う事で受信/送信機器は別回路になるため、電気の過大入力を防止し機器の故障を防げるという仕組みです。

ともあれ、この金属板の短絡をフォトカプラに置き換えれば、Arduinoで簡単に制御できるようになります。

以前、別用途で入手したTLP222Aを使って実験してみる事にしました。

端子を通る電気量が分かっていませんが、データシートの定格から、おそらくカバーできるんじゃないかな、と。というか、ダメだとしても、構造的に壊れるのはフォトカプラの方なので、まあ大丈夫だろうという感じです。(コピーレリーズ自体がカメラを壊すような粗悪品構造でない限り…)。

回路図

必要なものは、

  • Arduino
  • タクトスイッチ × 2
  • フォトカプラ × 2
  • 抵抗 (2.2kΩ) × 2

フォトカプラLEDへの抵抗はもう少し小さくてもいいかと思いましたが、手っ取り早く手元にあったものを挿しています。

スケッチ

「スイッチを押したらLEDをつける」という単純なプログラムです。ただし、両方が通電した時、初めてシャッターが切れるという点には注意です。

タクトスイッチAを押すと、フォトカプラ1が通電し、AFが作動します。タクトスイッチBでフォトカプラ2が通電し、シャッターを切ります。

#define LED_A 12
#define LED_B 13
#define SW_A  2
#define SW_B  3
#define PUSH_SHORT 100

byte remote_pin [2] = {LED_A, LED_B};  // for photocoupler led pins
byte sw_pin     [2] = {SW_A, SW_B};    // for tact switch pins
byte sw_gauge   [2] = {0, 0};          // for switch's gauge


void setup() {
  for (byte i = 0 ; i < 2 ; i++)
  {
    pinMode(remote_pin[i], OUTPUT);
    pinMode(sw_pin[i], INPUT_PULLUP);
  }
}

void loop() {
  for (byte i = 0 ; i < 2 ; i++)
  {
    if (!digitalRead(sw_pin[i]))
    {
      sw_gauge[i]++;
      sw_gauge[i] = min(PUSH_SHORT + 1, sw_gauge[i]);
    } else {
      sw_gauge[i] = 0;
    }
    digitalWrite(remote_pin[i], sw_gauge[i] / PUSH_SHORT);
  }
}

問題なく動きます。考えていたより簡単に、シャッター操作できました。

 

ここまで出来たら、自由に設定できるタイマー機能をつけたり、タイムラプス的なインターバル撮影させたりとか、自由にプログラミング出来るわけで…面白そうですね。市販にはない便利なものも作れそうです。追々、そこら辺を突き詰めてみたいです。

参考リンク

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