Release 2017.5.27 / Update 2019.3.12

Video Assistをモバイルバッテリーで

以前、BlackmagicDesignのVideoAssist用モニターフード製作を書きましたが、今度はバッテリー環境の改良についてです。DCDC昇圧機を使ってUSBモバイルバッテリーから給電出来るようにします。

勿論、動作保証をする話ではないので、参考にされる方は自己責任で。

互換バッテリー

VideoAssistのバッテリーは、LP-E6(N)というCanon一眼レフカメラのバッテリーが刺さる仕様になっています。

2本接続できるように設計されていますが、いかんせん純正は結構な値段がします。BlackmagicDesignのサイトで紹介されている互換バッテリーも約4000円で、これもまあまあの値段です。

対して、Amazonで互換バッテリーを探すと、(怪しい)安いものなら1本1000円程度で手に入ります。

Amazon LP-E6互換バッテリー

これならかなりお手頃なんですが問題があります。

安いがため当たり外れがあります。容量が記載されているものより全然低かったり、下手すると、ほとんどヘタってしまっている不良品だったり。こういった安い互換バッテリーには扱い方の定石があるんですが、それでもハズレることもあり、まさしく「安いのには理由がある」です。

しかし、もっと困ることは“Canon”のバッテリーという点です。

映像では、こういった低価格帯小物系用のバッテリーは大抵“Sony互換”が相場でした。小型モニタ、LEDライト等々。汎用性が高い上、同じ規格で大容量版などがあって、非常に勝手が良く、浸透しつつありました。

それが、一眼動画は“Canon”、的な風潮のためか、このLP-E6互換対応の製品が増え、結果、Video Assistもその流れに倣っているかと思われます。正直、LP-E6の型は一眼レフ用のバッテリーとして設計されているので、(カメラへの取り付け方が変わらない限り)今後サイズが大きくなることもなく、Sony互換のように大容量対応も出来ないんじゃないか、と。

こんな環境なので、モニタとLEDライトを携帯、なんて時には3種類のバッテリーが必要です(勿論、予備を含めて複数個ずつ)。というか、そもそも自分が使っているのはNikonの一眼レフなので、わざわざ容量の小さいCanonバッテリーも複数用意するのは面倒でしかありません。

RavPowerモバイルバッテリー

そういうわけで、携帯バッテリーのゴチャゴチャを減らすために、モバイルバッテリーを使うようになりました。

RAVPower PR-PB11

こちらの製品は、残念ながら、もう製造販売されていないんですが、容量が15000mAhと大きい上に、9V/12VのDCプラグでも供給できます。価格も5000円前後でした。

プラグを自作すれば、他の機材、VideoAssistにも供給できます。使わない時に電源を落としておけば、1本で終日持ちます。

元々、別の目的で入手したんですが、そんな勝手のよさから、もう1本買い足し2本運用していました。ただ、幾分大きくて、ちょっとした持ち運びや機材固定に不便なところがあります。もっとコンパクトな代替品が出ないかなぁと、たまにチェックしていたんですけど、逆に12V出力できるようなタイプは、この価格帯では消えてしまいました。

USB変換回路

ここからは自分の拙い知識で調べて検証していったことなので、確証はありません。一発で機材を壊すことになりかねないので、参考にする方は覚悟して慎重にどうぞ。

昇圧回路

巷には性能が上がったスマホ・タブレット充電用のUSBモバイルバッテリーが溢れています。電流量も2.4Aまで供給できるようなものがあるので、12Vに昇圧出来る回路があれば、Video Assistに直接電力供給できるのでは、と考えました。

と、調べてみると、こういう製品がありました。

ドクターラボ
6A 昇圧型DCコンバータ デジタル電圧計付

  • 入力電圧:DC 3.0V~35V
  • 入力電流:9A(最大)
  • 出力電圧:DC 3.5V~35V
  • 出力電流:6A(最大)
  • 変換効率:96%(最大)
  • 出力リップル:40mV(TYP)
  • 誤差±0.1V

Video Assistの消費電力

Video Assistの消費電力を調べてみると、9Wという情報がありました(リンク先はすでに無効)。

  • Video Assist        (5inch)  9W
  • Video Assist 4K  (7inch)  17W

念のため、自分でも確認してみると、8Wでした。8~9Wあれば動くと考えられます。

USBバッテリーの出力が5V×2.4A = 12Wなので、(持っている)5インチモニタなら、この昇圧機で何とか出来そうな感じです。

変換機を作る

上記の昇圧機を使って変換BOXを作ります。と言っても、プラグ等を半田付けしただけの簡単な“容器”です。

昇圧機以外は身の回りで手に入ると思います。一応、下記にAmazonリンクを貼っておきますが、USBケーブルと電源ケーブルは、100円ショップで手に入れました。ただ、不良品・規定外のパーツ・材料に気をつける必要があります。

DCDC昇圧機

DCジャック 5.5mm / 2.5mm

DCプラグ 5.5mm / 2.5mm

電源用2芯ケーブル
USBケーブル

TAKACHI プラケース SW-95
(注:リンク先は5個セットになってます)

 

他に半田ごて、半田、テスターetc、など電子工作に使うツールは必須です。

組み立て

書くほどのコトではないので、写真のみで察してください。

重要なのはUSB・ケーブル・プラグの電極です。Video AssistのDCジャックは芯が+、外が-なので、これさえ間違わなければ、それに沿ってつなげるだけです。(間違えると一発でオシャカになります)

バッテリーから変換機へのUSB&DCプラグケーブル、DC&DCケーブルも作ります。USBは電極が下記のようになっているようです。

くわしくはこちら

USBケーブルは100円ショップのものだと、“充電専用”と銘打って2芯しかない場合があるので、逆に迷いづらくて良いかもしれません。もちろん、通電・電極の確認は慎重にする必要があります。

動作チェック

接続して動作確認します。このDCDC昇圧機は入力・出力の電圧が目視できる上に、出力電圧を可変出来るようになっています(その分、ちょっと大きいですが)。スイッチでOUTの電圧を表示させて、多回転半固定ボリュームで数値を調整します。

ちなみにスイッチを長押しすると、表示の誤差を微調整できるモードになるようです。

動くことが確認できました。

比較テスト

実際にVideo Assistでの駆動時間を調べてみました。満充電で電源を入れてから、SDカードの収録動画をリピート再生し、画面が切れるまでの時間を測りました。

ちなみにCanon互換以外のバッテリーは全部RAVPower製品です。

  重さ 電圧 V mAh Wh 接続 駆動時間

LP-E6
互換

80g 7.4 2300 17.02 専用端子 1h30′

RP-
PB060

113g 5 6700 24.79 USB to 12V 2h20′

RP-
PB061

230g 5 12000 44.4 USB to 12V 5h

PR-
PB11

370g 5/9/12 15000 55.5? DCプラグ 7h以上
(未検証)

予想ではLP-E6互換とUSBでもっと差がつくかと思いましたが、それほどではありませんでした。5Vから12Vへの昇圧でロスが大きいのかもしれません。ただ、LP-E6互換は持っている4本の中で一番持ちが良いモノで、この半分もなさそうな個体もあります。そう考えると、同じくらいの値段帯で“確実に使える”このUSB変換の方が自分にとっては有難いです。

LP-E6互換は1本当たり1500円、対してPB060は1700円、PB061は2500円(2017/5/27 現在)。DCDCコンバータも1300円程度なので、Canon純正を1本買う値段で、倍以上の運転時間が得られる算段になります。

自分にとっては利点が大きい話ですが、一点だけ、発熱が気になりました。

検証中、当然ながら昇圧機回路上の放熱板がちょっと熱くなりましたが、それよりもモバイルバッテリーに繋げたUSB端子の方が熱くなりました。50度までは行ってないだろうけど、触り続けると低温火傷する熱さです。

USBチェッカーで測ると、一応バッテリーからの出力は2A前後だったので、許容内だとは思いますが…。まあ、しばらく試運転してみるしかありません。

アタッチメント

バッテリーをモニタに取り付けやすいよう、アルミチャンネルと木材で固定器具を作ってます。ちょっと重くなってしまいますが、ガタつくと固定先のカメラに振動を与えてしまうので。意外にこっちの方が手間とお金がかかってるかもしれません…。

最終的にはモニタフードのように黒くペイントするつもりです。

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