release 2017-4-28

Andoer カメラスタビライザー

Andoerのスタビライザーを手に入れました。カメラ用スタビライザーとして3台目になります。購入した理由は「携帯性」。スタビライザーの原理から言えば、「重く」「大きい」ほうが確実に有利なので、性能的に買う価値があるのか大分悩みました。

ただ、「遠征時でも邪魔にならない」このサイズが魅力的だったのと、ひとつ気になる評価があったので、覚悟して購入してみました。

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見た目が正にiFootageの「Wild CaT II」にソックリで、大きな声では言えなそうですが、どう見てもコピー商品。ただし、価格は1/3です。(ちなみにDUB STACKというメーカからも大分似たモデルが売られています。)

Andoerのキーワードで調べると色々出てきます。

Amazonの商品レビューでは評価が微妙で、試し撮りの映像を検索して見ても、相応の効果な感じ。敢えて買おうと思える品質には思えませんでした。まあ、「価格と品質の関係」、「大きさ」、「重さ」を考えると、当たり前の話なんですが…。

なんですけど、Youtubeでレビューされている方がいて、コアになる「ジンバルベアリングの精度が非常にいい」という評価をされていました。

ジンバル部分さえしっかりしていれば、バランスの精度は工夫と経験でどうにでもなります。Flycam nanoでさえ持ち運ぶのは面倒だと思っていましたが、このサイズであれば邪魔になりません。ダメ元で手に入れてみる価値があると判断しました。

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実機レビュー

梱包

Amazonで買うと、国内発送では、大抵大げさな箱詰めで、「こんなデカいもの買ったかな」と勘違いさせられ実はSDカードだけだったり。逆に、大陸発送だと、結構な精密機器がざっくりした袋詰めで送られてきて、「マジか」と驚かされます。そして、この商品は後者です。ある意味潔いというか。

Amazonレビューで「破損していた」というのも納得できます。ただ、付属のクッション入りポーチに収められているので、多少気は使っているんだとは思います。

内容物

  • 本体
  • ウエストポーチ
  • クイックシュー
  • 錘 40g、50g、150g 各3個づつ(独自測定です)

ガッチリ固定して欲しい部分はアルミなどの金属で剛性を確保しつつ、負荷の弱そうな部分はカーボンにしているので軽いです。本体&シューだけだと410gしかありません。あとは分解できる錘が720g分。

全部ポーチに収めた総重量でも1.37kg。「ついでに持って行こう」でも許せるスペックです。

ポーチのサイズは、ベルト部分を除くと、長さ約300mm、高さ・幅が約100mm。この中にまるっと収まります。

ただし、このウエストポーチ、ベルトが短く、目いっぱい伸ばしきった状態でもウエスト92cmの自分にはキツい状態です。

「ウエストポーチ」ではなく、ベルトのついた「収納袋」と考えたほうがいいかもしれません。

良い点

自分の所持するFlycam Nanoと比較して、「いいね」と思う箇所を挙げていきます。ただ、これはイコール「Wild CaT II」にも言えると思います(おそらく)。

携帯性

折りたたんだ状態で、290mmというサイズは、どこに持っていくにも邪魔にならなく便利です。Flycam Nanoみたいなスレッド形状のものは、解体しない限り、バック等に収められないので、一度セッティングしたら、ずっと片手で持ち運び続けないといけません。が、これはサクッと折りたたんで、すぐ撤収出来ます。

ベアリング精度

Youtubeのレビュー通り、ベアリングの滑らかさが凄くいいです。Flycam Nanoのジンバル部をメンテナンスで分解したことがありますが、「こんなもんか」という程度の滑らかさでした。それに対して、こちらは3軸とも、かなりスムーズに回ります。

ただし、後述しますが、ハンドル(ロール)部分のベアリング固定が完璧でなく、前後にガタガタ動きます。

調整しやすいステージ

Flycam Nanoでは4つネジを緩めることで台座(ステージ)を1次元分動かせるようになります。前後左右の2次元分では8つのネジを締めたり緩めたりしないといけないので、扱いに慣れた今でも、調整には毎回結構な手間がかかっています。

Flycam Nano 固定ネジ

対してAndoerでは、止め具が前後と左右1つづつなので、そこら辺の手間が大分省けます。

Andoer 固定ネジ

また、前後可動部分はクイックシューとしても併用でき、別途つけ足さないとしても、取り付け・取り外しが簡単にできます(自分は更に簡単にするためアルカスイス互換のシューをつけてますが)。ちなみにFlycam Nanoについていたシューはプラスチック製でガタが酷く、即差し替えました。

ハンドル角度の調整

本家のSTEADICAM以外、スレッド型スタビライザーのほとんどはハンドルが直角になっています。多分、基本が自力で握って支えるという仕様だからそうなっているんだと思います。でも、この角度だと、アングルを上げたり下げたりした時に結構負荷がかかって疲れます。

Flycam Nano ハンドル

このAndoerでは、ハンドルの角度も調整できるようになっていて、もち手の角度が簡単に変えられるので、状況に合わせて楽な持ち方に変更できます。

Andoer ハンドル

酷い点

マイナス点は、かなりあります。まずは一般論として。

慣性モーメントの弱さ

これは見た段階で分かるので、「酷い」のではなく「当然」なんですが、やはり、他のサイズのスタビライザーに比べて、調整や操作がよりシビアです。多分、これで初めてスタビライザーを使う人は、使いこなせるようになるまで相当時間がかかると思います。まあ、その代わりに、これだけの「携帯性」が手に入るわけなので。

 

上記以外に関しては、この価格帯に起因するAndoer製品に関する部分です。多分「Wild CaT II」はもっとちゃんとしているのだろう、と。

というのは、設計や使われている個々のパーツのクオリティがかなり高いにもかかわらず、組み立てが雑すぎて、全て台無しにしている感じが多いからです。推測ですが、「Wild CaT II」のアウトレット(規格外)になったパーツを寄せ集めて、適当な所で組み立てているんじゃないでしょうか。だとすれば、この品質で、この値段にも納得できます。

酷い点については、上記で挙げた

  • 付属ポーチがウエストに巻きづらい
  • ジンバルのロール軸固定に隙間がある

がありましたが、その他の事項を書いていきます。あくまで自分の個体に対してなので、「当たり」なら問題ないかもしれません。

ポールの長さが固定できない

 スレッドの長さを調整して留める部分は、つまみを回すことで締め付けて止める、つっぱり棒のようになっています。この機構、ちゃんと使えれば、かなり便利なんですけど、残念ながら自分のものは固定しきれず動いてしまいます。しっかり締め付けても効果がありません。

特に、重めのレンズをつけて上部の荷重が増えると、ちょっとした力で下がってくるので、ドロップタイムがずれ、バランスもずれ、スタビライザーとして機能しません。

スレッドの回転

ポール自体が、ガッチリ固定できず、微妙に回ります。後述しますが、最初、一箇所の固定がダメかと思いきや、実は数箇所の接合箇所に問題があって、かなり面倒な状態です。

改善策

ということで、覚悟もしていたので、手に入れて2日目すぐに改造へ踏み切りました。

毎度のことですが、改造は自己責任で行ってください。下手すると、改悪に終わり、例え、上手くいったとしても、後々の事故の原因になる可能性もあるので、そこら辺も覚悟の上で。

改造するには分解します。分解するには固定されているボルトなどを外す必要がありますが、手で回すのは正直難しく、電動ドライバーが必須かと思います。また、外してみて、ボルト固定に接着剤らしきもので補強していることが分かりました。なので、ある程度の工具やアイテムが必要です。

ハンドル部分のベアリング固定

ハンドル部分のロール軸ベアリングは、回転こそスムーズですが、隙間がありガタガタします。歩きながらの撮影だと、その箇所がスレッドへぶつかり、振動を与えてしまいます。

そこで、ベアリングとボルトの間に「ばねワッシャー」を挟んで、隙間を埋めることにします。

ハンドルを外すには、まずジンバルサイドを留めているボルトを外す必要があります。両サイドは六角ボルトで固定されているので、ソケットレンチなどを使い外します。ベアリングにワッシャーを噛ませていたりするので、戻すとき順番を忘れないよう、気をつけます。

ハンドル部分のボルトはマイナスです。そしてかなり硬いので、電動ドライバーを使うといいです。

ベアリングを通っているボルトが長いので、もっと深く締め込みたいところですが、差込口と噛み合うと回らなくなってしまいます。そこで、「ばねワッシャー」になります。

ボルトは接着剤らしきもので硬く固定されていたので、同様な処理をします。自分はこちらを使用して補強しました。ネジ用の緩み補強剤です。

各ボルトの固定は締め付け過ぎると、ベアリング自体が回らなくなってしまうので、回る度合いを確認しながら、“可能な限り締める”感じにします。後は補強剤の力次第です。ただし、以前他で使ったとき、効き過ぎたので、同様に二度と外せなくなる可能性もありますが…。

ポール締め付け部分の噛み合せ

締め付けの「つっぱり棒」機構は、ポールの径が合っていないので、いくらきつく絞めても完全に固定できません。このパーツはプラスチックで出来ているので、強引に分解しようとすると壊してしまいそうで怖いです。

なので、ここはちょっと応急処置的な処理にします。

100円ショップなどで手に入る幅の広いセロハンテープを用意し、寸法を合わせてポールに巻きつけます。

一応自分の測った感じでは径43mm、長さ140mmでした。

締め付け機構を逆に回し続けると上下を簡単に分解できるので、プラつまみをジンバルまで上げて避けておき、テープをシワを作らないよう気をつけて貼り付けます。

ポールを少し“太らせる”ことで、ガッチリ噛ませることが出来るようになります。ただし、見た目が芳しくないのと、傷んで長くは続かない可能性もあるので、追々違う解決法を見つける必要がありそうです。

スレッド長さ調整部分の回転

締め付け機構部分は固定できましたが、ポール全体の固定がイマイチしきれず、微妙にグラグラ回ります。中を見ると、上下のパーツにそれぞれ溝と突起部があって、それが噛み合う事で、上下の調整時にスレッドの回転を止める仕組みになっています。

が、溝が広すぎてブカブカになっています。

このせいで遊びが出来て、グラグラしています。幸い、この部分は柔らかい素材で出来ている(プラスチック?)ので、彫刻刀や、P-カッターなどで、もっと細い溝を作ってやれば、グラグラを解消できそうです。

精度を考慮して、自分は工作機を使いました。

問題は円筒の180度対角で「如何に的確なガイド線を描くか」ですが、紙とテープと鉛筆だけで実現できます。この方法はこちらの動画から学びました。

こういうのを知恵っていうんですよね。凄い「目から鱗」なやり方です。

細長く切った紙を円筒に丸めてテープで固定。きっちり過ぎると、付け直すときに上手くはまらないので注意します。

一回外して、折りたたむ。その両端を鉛筆で塗りつぶし、跡をつける。

紙を再び円筒にはめ込む。これできっちり対角の位置が分かるので、後はマジックペンなどで真っ直ぐなガイドラインを引きます。分かりやすく、元々ある溝と、90度交差するようにしました。

クロステーブルで正確に溝を彫っていきます。溝の太さは1.8mmほど。

ポールの目盛り表示位置は90度移動しましたが、上下調整時の回転は確実になくなりました。

でも、実は台座部、脚部の接合部もしっかり固定されておらず、どちらも力加減しだいで回ってしまいます。

ただ、あまり最初からいじり倒してしまうと、失敗したら2度と使い物にならないので、どうしても許せなくなったらまた対策を練ることにし、とりあえずこれで運用します。

慣性モーメントの拡張

スレッドの足は三脚構造になっていて、ボルトを締めるように錘をつなげて使います。

ただ、この錘、3つ繋げたところで75mmしかなく、全部使ったところで、慣性モーメントが強く働きません。

この部分は単純に寸切りボルトで解決します。

ネジ径は3/8インチ、ホームセンターで30円くらいで手に入ります。また店舗によっては工作機を貸してくれるところもあります。自分はそこで3等分にしました。

工作機械は楽に切れますが、ねじ山がつぶれてしまうので、後からやすりで調整する手間があります。

結構すぐ緩むので、何か対策が必要ですが、とりあえず機能します。

ただ、現状では長さが微妙に揃っていないので、直立させると、ピサの斜塔状態です。

まとめ

「改善策」から分かるとおり、そのままでは使えない可能性が高いです。多分、自分で工夫したり、スタビライザーの扱い方を良く知ってないと、「使えない」ガラクタで終わってしまう商品です。

自分は予想していた通りなので、現状では「相応で納得できるもの」だと思っています。

「安いのには理由がある」。この商品が気になっていた方は、そこら辺を頭に入れて、他の選択肢と比べてみるといいかと思います。ただ、「高けりゃいい」とも言い切れないので、難しいんですけど。

 

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